アンタと組んで3ヶ月。
 

俺の生まれついての手癖の悪さとアンタの掛け声で、どんな仕事もこなしてきたよな? 
 
組んだ期間は短かったが、アンタは俺が生きてきた中で最高の相棒だった。 
 
アンタのような相棒にゃこの先会うこともないだろう。
 
そんな最高の相棒であるアンタに、俺は一つ隠し事をしていた。
 
今まで騙しててゴメンな。 
  
  
  
 
 
 
  

 
 

 
俺、ホントはニホンザルだったんだ。 

でも、あんたも気付いてたんだろ?俺の毛深さとか疑ってたもんな。ハハ・・・。
 
 
そろそろ冬だし山に帰らないと。 
 
アンタがくれた焼きイモうまかったぜ?
 
若い頃の高崎山時代を思い出したよ。 
 
あの頃は何もかもが必死でよ、ボスの女を横取りして、半殺しにされたりしたなぁ……。
 
 
そんな権力争いに嫌気が差して、野生に戻ったってワケさ。 
 
 
 
まぁ、一人で生きて行くのも楽じゃなかったがな。
 
 
木の上で吹雪かれながら食べる渋柿って中々オツなもんだぜ?
 
 
え?ナニ?
 
寒い中、柿食って更に体冷やしてどーするってか?
 
あー、もしかしてアンタ『唐辛子売りと柿売り』に影響された派?
http://homepage1.nifty.com/TAP-T/rakontoj/togarasi/togarasi.htm 
 
 
まぁ、実際冷えるさ。 
 
凍死しかけたこともある。
 
だがな、ギリギリのラインでの命のやり取りがたまんねーんだよ。  
 
 
 
アンタはその快感を味わったことがねーだろ?
 
いつか味わえる時が来るさ。 
  
 
 

おおっと、ごめんよ。
 
もう時間だ。俺は山に帰るぜ。

 
今まで世話になったな。
 
礼を言うぜ。 
 
じゃあな。
 
 

 
 

  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
 
P.S. 
今だから言えるが、冬から春先にかけてアンタんちの食料とか畑を荒らしてたのは俺だ。 

 
スマン。

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